自然に服従し、境遇に柔順なれ

2010-06-14 17:56:21

6月7日は父の命日に当たります。父は昭和19年2月、私が未だ4歳になる直前に補充兵として徴兵され、中国に出征して戦病死しました。戦地の中支奥地から揚子江を下り上海までたどり着くのに月日を要し、戦後の昭和21年6月7日に上海の病院にてマラリアと栄養失調にて死亡との公報が来ています。

幼かった私には父との思い出の記憶はほとんどありません。ただ戦地から送られてきた父の葉書を読んで、父がお国のために従容として戦地に赴いたことを知ります。お国のためとはいえ、30歳代半ばで人生を終わらざるを得なかったことはまことに惜しまれることです。

戦後は日米安全保障条約に守られて、私どもは戦争を経験せずに平和を謳歌してきましたが、ここにきて普天間基地移設問題で日米関係は混迷し、私どもの不安は深まっています。
私は大学を卒業後自動車メーカーに勤務し、日本経済の高度成長とともにモータリゼーションの進展を見てきました。その自動車産業はこれまでのガソリンエンジンの時代からエンジンに代わって電池とモーターによる電気自動車の時代へと大きく転換しようとしています。

ここ20年の間に雇用の面でも、終身雇用、年功序列という日本的雇用慣行は過去のものになりつつあります。2008年の世界的大不況以後、非正規社員のリストラが話題になりましたが、非正規雇用はこれからもなくならないでしょう。また社会に巣立つ若者たちの就職状況は第二の氷河期といわれるほど厳しいですが、この就職難も当分続くことでしょう。
何故ならば、中国や周辺アジア諸国の高成長に伴い、東アジアは日本経済にとり巨大な市場に育ちつつあります。それと同時に労働市場も一体化しつつあり、日本の賃金水準そのものが制約を受けてしまうからです。

日本は今、産業構造そのもののあり方を問われていると思います。歴史を見ても時代の変化に適応できない組織や国家は衰退するのみです。個人もまた国の政策、時世の変化や動向に大きく影響を受けることは言うまでもないことです。
森田療法の創始者、森田正馬は「自然に服従し、境遇に柔順なれ」と教えています。自分が置かれた状況をありのままに素直に受け入れ、自分がどうすればよいか、自分として何が出来るかを考えて実行することです。私たちがこの時勢に対応して生き残っていく生き方はそれしかないでしょう。

長い職業人生をよりよく生きるには、自らキャリアをデザインすることが大切です。私たちは謙虚な気持で自分を見つめ、社会の要請に応えて自身の能力を地道に伸ばして、社会に通用するプロフェッショナルとして、自分の価値を高めていくことが重要です。

そのためには私たちは時代の趨勢をキャッチするアンテナを高く張って、長期的なライフプラン、キャリアビジョン(職業人生)、ファイナンシャルプランの目標設定を行い、それを着実に実行することを是非ともお勧めいたします。
この厳しい競争社会を生き抜き、自分の生活を守って行くにあたり、エイジング・アドバイザーの講座が非常に役に立つと思います。


荒 隆文

荒 隆文 (あら たかふみ) 満70歳
エイジング・アドバイザー®/世渡り指南師®/プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー®/認定キャリア・コンサルタント/認定エグゼクティブ・コーチ
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